感謝の和と輪 Project

ストーリー (概要)

「有難う」の喪失

  児童養護施設のこどもたちは、一般のこどもに比べ支援者の方などの関係各位からクリスマス等のイベントで様々な物を頂く機会があります。頂いた事に対して、こども達から寄贈者へ向けてお礼状をお返しすることがありますが、必ずしも自発的に書いているばかりではありません。こどもたちにとって心の中で、物やサービスをもらうことが当たり前になることがあり、時には望まないプレゼントに対して違和感が生じていることがあります。

私たちの団体がこどもたちに伝えたいこと 

 18歳までに社会に出て自立しなければならないこどもたちに、私たちが伝えたいと考えることは2つあります。ひとつは、何かをしてもらう機会は「有ることが難しいこと」であること。もうひとつは、親族以外にも、こどもたちを支える大人がいることです。児童養護施設から社会に出た時に、「何かを相手からして頂くことは当たり前でない」ということを、私たちは児童養護施設で過ごした先輩として深く思うのです。 

私たちの団体がこどもたちにできること 

  私たちは、先輩としての体験を伝えるセミナーと感謝状のメッセージを一緒に作る活動を通して、こどもたちと「学びの体験」を共有し、共に育って行きたいと考えています。普通の家庭の中でもプレゼントをもらうことはありますが、それは、物だけでなく、親はこどもを支えていることを伝え、こどもは自分が支えられていることを感じて、そして学ぶ機会でもあります。しかしながら、様々な事情によって親族と生活を共にすることができない児童養護施設のこどもたちにとって、普通の家庭の中で育まれるこのような機会は限られます。こどもの頃にある、ごく当たり前の普通の経験が、子供たちが育つ力になると考えています。 

繋がりをデザインします

  感謝状は「感謝の心の和と繋がりの輪」をテーマに、①児童養護施設のこども、②普段のこどもたちの生活を支える大人、そして③社会にあってご支援をいただいております皆様の3者それぞれに「ありがとう」のメッセージをお寄せいただきます。世界無形文化遺産の石州半紙で作成した和紙を用い、建長寺の管長様に禅の円相(まる)を描いて頂きました。この円相の周りに39名の「ありがとう」のメッセージを配します。この様に感謝状は、社会にあってこどもたちを共に育てる多くの大人の繋がりによって織り上げられ、ひとつの形になります。5月5日のこどもの日に、このようにして、私どもが感謝状の形にしてお贈りさせて頂きます。

「ありがとう」の意味

 ありがとうは漢字で書くと「有難う」です。「ありがとうの」の大切さは社会経験を積む中で、真意がわかります。こどもは様々なものを受け取ることが仕事なのかもしれません。よって、普通の家庭のこどもにはこのようなことは伝えません。児童養護施設で暮らすこども達は15歳もしくは18歳の学校卒業と共に施設を出されます。社会で基本一人で自立を強制される彼らにとって、何か相手にして頂くことは当たり前でないことを早い段階で知り必要があります。なぜならば、一般のこどもと違い彼らは、基本一人で生きていかなければならないからです。こども達が社会に巣立った時に素直に「ありがとうございます」が言える人になってほしいと先輩として思います。そして18歳で自立しなければならないこども達にとって自立への一歩になればと考えます。

製作

 贈呈する感謝状のタイトルは、本プロジェクトの名称の「感謝の和と輪」をそのまま形にすることにしました。一般的な感謝状ではなく特別なものにしたいと考えました。私たちの考えている理念とビジョンをそのまま形にした感謝状にしたいと考えたからです。この考えから、和紙、円相、印刷、額縁、デザインに各分野の一流の方と多くのこどもとと大人の心の和と繋がりの輪が形になった感謝状が出来上がりました。

和紙

 感謝の和と輪 状(感謝状)の和紙は、ユネスコ無形文化財に認定されている石州半紙 石州半紙技術者会 会長 川平正男様が自ら制作してくださいました。

石州半紙技術者会 会長 川平正男 様から頂いた「18歳で巣立ったこども達への応援メッセージ」を掲載させて頂きます。


円相

 感謝の和と輪 状 (感謝状)の表に載せている輪の円相は、けんちん汁発祥の地で有名な鎌倉にある大本山 建長寺 管長 吉田正道 老子に賛同を頂き描いて頂きました。円相を初めて拝見させて頂いた際には、背筋が伸びるほど感銘を受けたと代表理事の三浦が申しておりました。下記は 宗務総長 高井正俊様よりメッセージを頂いた際の写真です。

円相とは

 円相(えんそう)は、禅における書画のひとつで、図形の丸(円形)を一筆で描いたもの。「一円相(いちえんそう)」「円相図(えんそうず)」などとも呼ばれる。悟りや真理、仏性、宇宙全体などを円形で象徴的に表現したものとされるが、その解釈は見る人に任される。(ウィキペディア より)

デザイン 

 白ひげ と運営母胎 ZIRITSUのビジョンは次の通りです。「こども達がどんな境遇になっても、安心してZIRITSU(自らを善良に律し立つ)した大人になれる社会づくり」です。この考えを形にしたいと考え、社会的養護のこども達と元こども達、支援者(児童養護施設、NPO、行政等)、社会(経営者、教育家、宗教家等)の3者の「ありがとう」を形にしました。表面には贈呈者さまとご縁のある方と今回の制作関係者さまを代表して39名の「ありがとう」。裏面にはこのプロジェクトにご賛同を頂いた、170人以上の「ありがとう」を形にしております。

ありがとうの「色」

感謝状に載せる「ありがとう」の色には下記の様な意味を込めています。

  • こども達・元こども達は、これから育つ芽の色
  • こども達を支援する者(児童養護施設、NPO、行政等)は、思いのハートの色
  • 社会は、こども達を育む幸せの色


 表面には、贈呈者さまとご縁のある方と今回の制作関係者さまを代表して39名の「ありがとう」を掲載しています。

 裏面にはこのプロジェクトにご賛同を頂いた、170人以上の「ありがとう」を形にしております。中心に社会的養護のこども達と元・こども達の芽の色の「ありがとう」。芽の色のありがとうを包み支えるように、支援者の思いのハートの色の「ありがとう」。思いのハートの色のありがとうを包み支えるように、社会の子供を育て幸せを共有する色の「ありがとう」。支えられる者と支えあう者を円相の形を生かし表現しています。

額縁

 感謝の和と輪 状 (感謝状)を納める額縁は、皇居ご用達の木工で未来の匠を育てる秋山木工 秋山利輝 さま、福田光位 さま、丁稚の皆さま等にご協力を頂きました。下記は、お願いに行った際に記念に取らせて頂いた写真です。(左から、秋山利輝 さま、弊社代表理事 三浦、福田光位 さま)

撮影後に、制作現場を拝見させて頂きました。

秋山木工の皆さま、から頂いた「ありがとう」と「18歳で巣立ったこども達への応援メッセージ」を掲載させて頂きます。


額縁の表面と裏面

 感謝状は表面と裏面に印刷が施されています。よって、裏面もガラス張りになった特別注文の額縁になります。この制作依頼で秋山木工さまにお伺いしてご説明をさせて頂きました。サンプルとして以前に社長の秋山利輝さまがご制作した額縁を出して頂きました。不思議なことに、ご制作を頂いたと特注和紙(A3より大きいサイズ)がピッタリと収まりました。

 後ろをガラス張りにする。この無理難題を快く引き受けて頂きました。裏面の特注部分は、福田さまが無垢の木を使ってご制作頂きました。後日完成した商品を受け取る際に、未来の匠である丁稚さんが「福田さんの作るものは、どれも暖か味があるです。作り手から見て、違いがでる素晴らしい作品なんです。」と教えてくださりました。


感謝の和と輪 状

下記が皆さまのご賛同とご協力により作ることが出来ました、感謝の和と輪状(感謝状)です。


「メッセージ」

こども達 と 元・こども達

これからの未来へ夢・抱負、社会へのメッセージ
色の意味:
こども達・元こども達は、
これから育つ芽の色

「人を笑顔にできる美容師になれるよう頑張ります!」
--- N・K ( 2014年群馬セミナー参加者)

「夢は保育士です。」
--- A・K ( 2014年群馬セミナー参加者)

 「今まで頂いてきた“愛”を自分なりの形で返していきたいです!」
--- Y・A  (2014年群馬セミナー参加者)

「私の夢は子どもの事をきちんと考えられる母親になることです。子どもの気持ちとちゃんと向き合っていく。これは私が私の母親に望んでいたことだから...。『愛情』ということを大切にしていきたいです!!」
--- N・R  (2014年群馬セミナー参加者)

「"社会の人たちへ。どうか、偏見を持たないで下さい。そっと寄り添ってあげて下さい。もっと、支援の輪を広げてあげてください。自立支援セミナーへ。進学ではどんな準備が必要だとか、どんな支援(援助)があるのかとかを教えてください。"」
--- M・M  (2014年群馬セミナー参加者)

「私は子どもの気持ちに寄り添い、お互い成長している児童養護施設の職員になります。」
--- 資生堂奨学生 I・A (児童養護施設退所者)

「"今年いよいよ最後の一年なので、悔いのないように日々生活していきたいです。施設での生活はもう二度と経験できるものではありません。生活している施設での期待と不安を胸に、前を向いて生活したいです。感謝の気持ちも忘れずに。セミナーでは、とても詳しく社会のことを教えて下さり、ありがとうございました。上記のような考えになったのは、セミナーのおかげです。本当にありがとうございました。"」
--- A・O  (2014年群馬セミナー参加者)

「そのへんの大学生には絶対敗けねぇー」
--- K・K  (2014年群馬セミナー参加者)

「立派な大人になります」
--- N・M  (2014年群馬セミナー参加者)

「自分は、今仕事を頑張っています。」
--- N・M  (2014年群馬セミナー参加者)

支援者

支援者から15歳もしくは18歳で社会に巣立ったこども達へ
色の意味:こども達を支援する者(児童養護施設、NPO、行政等)は、
思いのハートの色

「俺の息子になれ 馬鹿な息子をそれでも愛そう」
--- 社会的養護当事者団体 白ひげ

「良き友、良き出逢い、良き学び、良き経験で人生を彩ろう」
--- 東北福祉大 特任教授 臨海学園卒園者 草間吉夫

「少しずつ強くなろう。人生の苦みも甘みも美味しく味わうために」
--- 白ひげ 代表理事 フランシスコの町卒園者 三浦宏一郎

「社会に出ると、きっと悩むこと迷う事があると思います。そんな時、辺りをみて下さい。一緒に悩んだり考えたりしてくれる人がいますよ。」
--- 児童養護施設 こはるび 坂井勉

「苦労 = 不幸じゃない 過去を認めると、一歩踏み出せる 過去を愛せ、未来に恋せよ 今をトキメケ!」
--- 太陽のマネジメントを伝える黒岩禅 (施設退所者)

「願いは叶う」
--- 有限会社 W-Yz 代表取締役 吉崎辰美

「思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。行動に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから。」
--- NPO STARS 理事長 太田一平

「たくさん笑ってたくさん泣いてたくさん食べてたくさん寝よう!! 心の充電はいつも満タンに★」
--- NPO STARS 中道亜紀子

「もらうばかりでなく、他人に何かを与えられる人になろう」  
--- 児童養護施設職員 青木義匡

「感謝の心」
--- 神児研 会長 .箱根恵明学園卒園者 草場作

「未来をつくるのは君達です」
--- 第二調布学園 元・施設長 春日明子

皆さんが子どものころ一緒に生活した私たちは、大人になった皆さんと会えるのが最高の喜びです
--- 唐池学園 園長 鶴飼一晴

「社会の荒波はつらいです。少し休める場所になりたいと思っています エネルギーを充電して前に進みましょう」
--- 児童養護施設職員 太田優子
 
「すべての子ども達にチャンスを」
--- 児童養護施設職員

社会

社会から15歳もしくは18歳で社会に巣立ったこども達へ
色の意味:
社会は、
次世代を共に育み幸せを共有する色

「人生一度の迷路 良き人との出合すべては自己責任」
--- 和紙製作者 ユネスコ無形文化遺産 石州半紙技術者会 会長 川平正男 様

「天命に生きる」 「天職に生きよ」
--- 額縁の製作者 秋山木工 秋山利輝 様

「毎日毎日を大切に」
--- 額縁の製作者 秋山木工 福田光位 様

「素直な心」
--- 古山和宏 様

「いつも喜んでいなさい 絶えず祈りなさい どんな事にも感謝しなさい (引用 新約聖書テサロニケ 5.16~18)」
--- 株式会社ACPシェア 代表取締役 細谷智雄 様

「今日は(ありがとう)言ったかな。だれに言ったかな。何回言ったかな。」
--- 愛泉こども家庭センター 様

「奇跡とは努力した人だけに与えられる 神様からのプレゼント!」
--- フランクリン・コビィー・ジャパン株式会社 副社長 竹村富士徳 様

「人生には谷もあり山もあります。そして夢もあります。」
--- 大本山建長寺 宗務総長 高井正俊 様

「ありがたきことは、げに有難き故にありがたくあり。」
--- 帰源院 帰源小住宗實 様

「浄(きよ)く明(あか)るく正(ただ)しく直(なお)くゆっくり歩みましょう。」
--- 貴布禰神社 宮司 江田政亮 様


感謝状を受けとって

 心のこもった感謝状をいただき、ありがとうございました。いままで出会ったみなさまのお顔を、思い浮かべながら、1つ1つの“ありがとう”を拝見し、大変感激しております。これからのみなさま方の、一層のご健勝・ご活躍をお祈り申し上げます。

 

公益財団法人 資生堂社会福祉事業財団

贈呈を終えて ~ 七位一体のアート ~

 無事に各作成を終えてメンバーと共に感謝状を額縁に当てはめて時に、分かったことがあります。それは感謝状の裏面を太陽の光にかざすと表面の円相が浮かび上がります。和紙、円相、デザイン、170人以上の「ありがとう」、印刷、額縁、太陽の光が作り出すアートだと思いました。七位一体の「有り難い」ことが形になりました。ご協力を頂きました、石州和紙技術者会 会長 川平正男さま、大本山建長寺の管長 吉田正道さまと宗務総長 高井正俊さま、キャノンの綴プロジェクトの皆さま、秋山木工の秋山利輝さまと福田光位さまと未来の匠の皆さま、170人以上のこどもと大人の皆さま、そして資生堂社会事業財団の皆さま、有難うございます。今後も私たちは、下記のビジョンを皆さまと共に形にして参ります。

 


こども達がどんな境遇になっても
安心してZIRITSUした大人になれる社会づくり
(ZIRITSU=自らを善良に律し立つ)

 

社会的養護当事者団体 白ひげ
NPO法人 ZIRITSU

本プロジェクトについて

 上記プロジェクトのご相談等は下記のフォームより承っております。必須項目をご入力の上、送信ボタンを押してください。

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